共通教育科目の魅力や
ユニークさを発信

多様な世界を
見てみること

文学部日本語日本文学科 教授 
木下 りか

ずいぶん昔のことになりますが、私が大学生の頃にも専門外の科目の履修が必須でした。共通教育と似ています。語学はもちろん、経済、心理、文化、数学などたくさんの講義を受けました。

そんな中でギリシア哲学の講義はとくに人気でした。高校のときにも「万物の根源を水だと考えた人がいた」「火だと考えた人もいる」などと学びましたが、そのときは「わけがわからない」と思っただけでした。けれども大学で講義を聴くと、そう考えた人の視点から見た世界がおぼろげながらも立ち上がってきて、それも一つの見方であると感じました。同時に自分の立場からしかものを見ていないことに気づき、固定された視点が揺さぶられる感覚を覚えました。

当時、専門外の講義はおまけのようなものだと感じていたのも事実です。けれどもこうして受けた講義の一つひとつを、何十年たった今もけっこう鮮やかに思い出すことができるのです。