専門分野の学びとデータサイエンス

管理栄養士とデータリテラシー

管理栄養士とは、病人、高齢者、さらに健常者に対して、その時の人の状態に合わせて栄養指導や栄養管理を行うことができる資格のことです。管理栄養士が働く場は、主に病院で、その他にも企業、保健所、学校、福祉施設など多岐にわたります。ヒトは食べなければ生きていけませんが、食べ方のバランスを崩すと病気になる可能性が高くなります。したがって、その人に合った食事を心がけることで病因を減らしたり、治癒力を高めることが可能です。

ヒトの今現在の体の状態は、主に遺伝的に決定される体質と生活習慣から成り立っています。管理栄養士を含めて、これまでの医療は、後者の生活習慣と診断された病気を合わせて診ることで、治療方針を立ててきました。しかし、個々の体質をあまり考慮しなかったために、同じ治療を施してもうまく治癒できなかったり、副作用が強くでる場合も多々あったのです。そこで、2010年代より世界中で、個人の遺伝子情報からそのヒトの体質を科学的に理解し、それに合わせてきめ細やかな治療を実施するテーラーメイド医療に関する研究が進行中です。テーラーメイド医療が実現できれば、副作用に悩むこともなく、効果的な治療を受けることができます。すでに、商業ベースでの遺伝子解析サービスは10年以上前から存在しており、近年では、主な病院や大学なども取り組んでいることから、近い将来、遺伝子解析をベースにした医療が展開されることはほぼ間違いないでしょう。管理栄養士も、何百万人もの遺伝子解析のビックデータを活用して、目の前の病気で苦しんでいる人の栄養指導・管理を実施する時代がすぐそこにやってきているのです。「データリテラシー・AIの基礎」を学ぶことは、医療従事者と病人の両方の立場から近未来に備えるための第一歩ですから、しっかりと履修してもらいたいです。

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