共通教育科目の魅力や
ユニークさを発信

「立学の精神」と
共通教育科目の役割・魅力

建築学部建築学科 教授 
鈴木 利友

入学直後の1年次から充実した専門教育を受けられることは、武庫川女子大学の大きな特色の一つです。それでは、入学した各学部・学科の基礎・専門教育科目と並行して学ぶ共通教育科目の魅力とは何でしょうか。

武庫川女子大学の教育理念である「立学の精神」には、「高い知性と善美な情操と高雅な徳性とを兼ね具えた有為な女性を育成する」とあります。「高い知性」は言語・情報リテラシー、および自然現象やその法則を学ぶことにより、「善美な情操」は我々人間の内面や歴史、文化を学ぶことにより、「高雅な徳性」は社会の現状やそのあり方を学ぶことにより、それぞれ習得できるのではないでしょうか。

学生の皆さんの多くが、高校で文系または理系を選択したのち大学に進学するため、文系は人文科学または社会科学だけ、理系は自然科学だけを学べばよいと考えるかもしれません。しかし「立学の精神」に則れば、文系でも「高い知性」を獲得するためには情報リテラシーや自然科学への理解が求められるでしょうし、理系でも「善美な情操」「高雅な徳性」を兼備するために人文科学、社会科学を学ぶ必要があるでしょう。所属する学部・学科にかかわらず、言語・情報リテラシーや人文科学・社会科学・自然科学等を学べるようにするのが、共通教育が果たすべき役割かもしれません(なおスポーツ実技は「立学の精神」における「有為な女性」の中に含まれていると思われますし、「学院教育綱領」には「強靭な体力を増進し」と明記されています)。

一方で現在の共通教育は、その多くが学部・学科で基礎・専門教育を担っている教員の協力により成り立っており、人文科学・社会科学・自然科学を体系的に網羅できていないかもしれません。この枠組みの中で共通教育科目の魅力を高めるためには、担当教員が得意とするトピックを通して、「高い知性」「善美な情操」「高雅な徳性」との関係を意識しながら授業を展開することが重要のように感じています。